徒然想(院長のブログ)

つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心に移りゆくよしなしごとを、そこはかとなく 書き付くれば、あやしうこそ、物狂ほしけれ」と吉田兼好が序文に書き出した「徒然草」を 「徒然想」ともじって、こころに移りゆく想いを、そこはかとなく書き綴ってみました。 つれづれ時に読んでもらえたら幸いです。

徒然想10

里村 盟[2019年06月11日
令和元年06月11日

 初夏の訪れと、晩春との境界線を分かつように吹き抜ける季節の風は、樹々の新緑から揮発する「フィトンチッド」 という不可思議な植物成分が、私たちの心と身体を清めてくれる効用があるとされています。

紫の藤の花をばさと分くる
  風ここちよき朝ぼらけかな
          -与謝野晶子―

その昔、人間も自然の中にいて、朝日と共に起き、日の出の荘厳さを味わっていたが、人は雨戸を閉めたときから、 不自然になったのかもしれない。
身近に見る事のできる草花や鳥や景色の景観を守る心が薄れてきたのであろう。
そんな日常の中に、季節を伝える旬の物が贈られてきて、初めて季節を感じるのも寂しい事である。

梅が実るころの雨で「梅雨」と呼ばれるつゆは、日本と中国を中心にした東アジアにだけ見られる特異な気象現象である。 
梅雨は北方のオホーツク海上の高気圧から吹き込む冷たい北東風と、 南方の海上に腰を据えた太平洋高気圧からの暖かい南西風が、 ちょうど日本付近でぶつかり、その谷間に沢山の低気圧を形成する。

これが梅雨前線である。 熱帯海洋上に発生する大量の水蒸気が、太平洋高気圧の西の縁を回って梅雨前線まで運ばれ、 前線上に発生する低気圧により、雨となって日本に降るのである。

もし、ヒマラヤ山脈が突然になくなったら、日本の気候はどう変わるか?
気象庁・気象研究所のコンピューターの診断によると「梅雨は無くなる」との事である。
ヒマラヤ山脈やチベット高原は太陽熱を吸収し、大気を温める「熱源」でありインド洋からの熱風と上空のジェット気流を受け止める 「ついたて」の役もしている。コンピューターで山脈を消すと、南の温かい大気は、すんなり北上し、東アジアの梅雨前線は全く形成されず、 日本の6~7月は、いきなりカンカン照りの夏になってしまう。
所によっては、集中豪雨で、大きな被害をもたらし、夏の水不足や田植えにも悪影響が出て、秋の稲の収穫にひびくわけである。
梅雨明けは時として、7月下旬にずれ込む事があっても、6月になると確実に梅雨入り宣言となる。 秋の豊作にとって、うっとうしい梅雨も大事な時期である。

エジプト文明はナイル河に、中国文明は黄河にみるごとく、人間を含めた生物は「水」とは、切り離せないものである。
海水と人間の血液は電解質やイオンの成分の割合が非常に似かよっており、その点から、人間の祖先は海中で生存していたと推測される所以である。
事実、胎児は母体内で羊水という水の中で生育する。

ところで、「コップ」の中に、氷の塊を入れて、さらに、水をコップの表面まで満杯にして、 しばらく放置して、氷がすべて溶けたら、
水はコップから、溢れ出るか?という問題では、「溢れ出ない」が正解である。
浮力で有名なアルキメデスの原理に基づいているわけである。
もし、南極と北極の氷が全て溶けたとすると、海水は増し、関東平野は海中に沈み、二千級の山々のみが、小さな島々を形成すると言われている。
コップの話と矛盾するようであるが、南極や北極の氷は浮遊しているのでなく、大陸を構成しているからである。

地球温暖化の問題は深刻である。

              


                                里村 盟

Copyright (c) 2008 SATOMURA CLINIC. All Rights Reserved.