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糖尿病、特に 2型糖尿病においては、食事療法・運動療法・薬物療法を継続していても、期待したように血糖値( HbA1c や空腹時血糖など)が改善されず、むしろ悪化することもあります。
しかし、その原因には単なる治療のサボりや努力不足だけではなく、病気そのものの性質や進行、身体の反応の変化が大きく関係していることがあります。

糖尿病治療を続けても
数値が下がらないとき2型糖尿病は、一度診断されたらずっと同じ状態が続くわけではなく、時間とともに体の状態が変化していく病気です。根本的な原因は、インスリンを分泌する膵臓のβ(ベータ)細胞の機能低下にあります。
初期の段階では、効きにくくなったインスリンを補うために、β細胞が無理をして過剰にインスリンを出し、血糖値を下げようと頑張ります。しかし、その無理が続くとβ細胞は疲弊し、徐々にインスリンを出す力が落ちていきます。その結果、最終的には食事や運動だけではカバーしきれなくなり、薬やインスリン注射が必要になる段階が訪れます。
さらに、高い血糖値が続くこと自体が、β細胞を傷つける糖毒性(グルコース・トキシシティ)という現象を引き起こします。高血糖が膵臓を痛めつけ、さらにインスリンが出なくなるという悪循環により、細胞の死滅(減少)を招く可能性があります。
つまり、治療をしていても数値が下がらない場合や、昔はこの薬で効いていたのに効果が見えなくなったという状況は、あなたの努力不足や医師の腕の問題だけではなく、病気そのものが持つ進行する性質による部分が大きいという事実を、まずは理解することが重要です。
2型糖尿病と診断された時点で、すでにβ細胞の機能は健康な人の半分程度まで低下しているケースが多いということです。糖尿病と診断されるずっと前から、膵臓は血糖値を下げるために無理を重ねており、診断された時にはすでに予備能力が落ちている状態です。
現在の医学的知見では、診断後も時間とともにβ細胞の数や機能は少しずつ低下していくことが分かっています。そのため、仮に適切な治療を続けていたとしても、数値が改善しない、あるいは横ばいや悪化傾向になることは、ある程度は病気の性質として避けられない側面があります。
このように考えると、糖尿病治療の真の目的が見えてきます。それは、単に検査データのHbA1cを下げることだけではありません。疲弊しているβ細胞を休息させ、これ以上傷つけないように守り、機能が低下するスピードを遅らせることにあります。
早期から適切な治療を行い、慢性的な高血糖を解消することは、膵臓への負担を減らすことにつながります。 数値を下げることは、将来的に自分のインスリン分泌能力を残し、重い合併症を防ぐための臓器保護の手段なのです。
糖尿病治療を続けても
良くならない原因治療を続けても数値が改善しない背景には、以下のような原因がよくあります。
2型糖尿病ではまず食事療法と運動療法が基本ですが、それだけでは効果が出にくい例があります。
有酸素運動だけ、あるいは筋トレだけ、あるいは頻度・強度・タイミングが適切でないことにより、十分なインスリン感受性改善や血糖コントロールにつながらないことがあります。
ストレス下では戦う/逃げる反応が働き、ホルモン(たとえばコルチゾール、グルカゴン、成長ホルモンなど)が分泌され、これらがインスリンの作用を妨げて血糖値を上げることがあります。 加えて、睡眠不足や睡眠の質の悪さ、慢性的な生活リズムの乱れも、ホルモンや代謝のバランスを崩しうる要因となります。
食事・運動・ストレス管理・睡眠などをバランスよく整えることが、治療効果を得るために重要です。
薬物療法が適切に選ばれていなかったり、量や服用タイミングがライフスタイル・血糖のリズムに合っていないと、当然ながら効果が十分に発揮されないことがあります。 たとえば、睡眠中〜早朝に血糖を上げるホルモンの影響で、夜間インスリンや薬の効果が足りず、朝の空腹時血糖が高いままになるDawn phenomenon(夜明け現象)という現象があります。
また、薬の種類(経口薬/インスリン注射)の選択や、インスリン注射の場合には注射部位、注射時刻、食事や運動との兼ね合い、さらにはインスリンが効きやすいかどうかなどを見直す必要があります。
夜明け現象とは
早朝(一般的に午前4時から午前8時頃)にかけて血糖値が自然に上昇する生理的な現象を指します。これは1型および2型糖尿病患者の多くに見られますが、糖尿病患者の場合はインスリンの作用不足により、この上昇が病的な高血糖として見え始めます。
薬物療法は、あくまで “補助” あるいは “手段のひとつ” であり、生活習慣(食事・運動・睡眠・ストレス管理)が整っていなければ、十分な効果は得られにくいという基本原則も忘れてはいけません。
糖尿病だから薬と生活習慣改善をしているはずなのに改善しない場合、糖尿病だけでなく、他の病気や合併症の可能性を考える必要があります。例えば、肝臓や腎臓、ホルモンを分泌する器官(内分泌系)の異常、あるいは別の代謝異常が影響しているかもしれません。
また、加齢や体質、遺伝的な素因によって、標準的な療法への反応が弱いケースもあります。こうした場合は、一般的な治療ガイドラインだけでは十分ではなく、個別の治療方針の再検討が必要です。
さらに、長期間にわたる高血糖の影響で、細胞や組織の反応性が変化している可能性も否定できません。そのため、定期的な合併症のチェックや、他の専門医との連携が重要になります。
HbA1cが下がらない、あるいは低血糖を繰り返している場合、成果が出ていない状態で同じ治療を続けることはリスクを高めます。 医学的根拠に基づき、以下の4つの視点で現在の治療が本当にあなたの病状に合っているかを詳しく検証します。

01
2型糖尿病と診断されていても、1型糖尿病(緩徐進行1型糖尿病など)であるケースが一定数います。この場合、飲み薬では十分な効果が得られず、注射を用いた治療が必要になります。
また、診断から時間が経つにつれて膵臓の働きは変化するため、血液検査によって現在のインスリンの出方を測り直すことが重要です。

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血糖値が下がりにくい理由には、インスリンの分泌が少ない場合と、インスリンが十分に働きにくい場合があります。この違いによって、適した治療の考え方は大きく変わります。
例えば、体重が多く、インスリンが効きにくい状態の方では、インスリンの分泌を強く促す治療が体に合わないことがあります。そのため、体の状態を見極めずに治療を行うと、期待した効果が得られにくくなる場合もあります。HOMA RやCペプチドインデックスなどの指標を参考にしながら、現在の体の状態を評価し、その方に合った治療内容を検討していきます。

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目標値に達していないにもかかわらず、様子を見たり現状維持を続けてしまう状態をクリニカル・イナーシャ(臨床的惰性)と呼びますが、食事や運動の効果を待つあまり、高血糖を放置することは、血管が傷つくリスクと同時に血管合併症のリスクを高めるだけです。
3~6ヶ月で目標に達しない場合は、速やかに薬剤の増量、種類の変更、あるいは注射製剤(GLP-1受容体作動薬やインスリン)の導入を検討すべきです。

04
治療がうまく進まない背景には、生活の流れと治療内容が合っていないことがあります。例えば、仕事の都合で薬を指示どおりの時間に飲んだり、注射を行ったりすることが難しい場合や、食事量は控えているつもりでも、実際の摂取カロリーとの間にずれが生じている場合です。
このような点を丁寧に確認し、生活リズムに無理のない治療方法を検討することで、血糖コントロールの改善につながります。
糖尿病治療における
転院・セカンドオピニオンのタイミング糖尿病は進行性の病気であり、放置すると合併症のリスクが高まります。標準的な管理目標を長期間維持できなければ、網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化などの慢性的合併症につながる可能性があります。
以下のような状況がある場合、セカンドオピニオンまたは転院を考えるべきタイミングといえます。
また、インスリン導入、薬の種類変更、合併症管理など治療が複雑化した場合、一般内科だけでは対応が難しいことがあります。それを専門医・専門施設で適切に管理することで、患者さん自身の負担や将来的なリスクを軽減できる可能性があります。
日本糖尿病学会と関連団体が定めたかかりつけ医から専門医への紹介基準が、転院やセカンドオピニオンを考える上での客観的な目安になります。以下が代表例です。
ただし、高齢の方では、年齢や認知機能、日常生活動作の状況、低血糖のリスクなどを考慮し、目標とする HbA1c は個別に設定されます。日本糖尿病学会のガイドラインでは、状態に応じて 7.5%未満から 8.0%未満、場合によってはそれ以上を目安とすることもあります。高齢者では、数値を下げること自体よりも、安全性や生活の質を保つことが重視されます。
不安感だけで転院を決める必要はありませんが、血糖改善が得られにくい状況や治療内容の見直しが必要な状況が続く場合には、専門的な判断を早めに受けることが望ましいといえます。
専門の糖尿病外来や専門病院に転院・受診することで、次のようなメリットが期待できます。
たとえば、血液や尿の検査によって、ご自身の膵臓がどの程度インスリンを分泌できているかを評価することができます。これにより、内服治療で十分か、より専門的な治療の検討が必要かなどを、客観的に判断しやすくなります。特に、治療期間が長い方や、血糖値の変動が大きい方では重要な評価になります。
医師だけでなく、糖尿病療養指導士、管理栄養士、薬剤師などが関わる体制が整っている医療機関も多く、生活背景や合併症のリスク、ライフスタイルに合わせた、きめ細かな支援を受けることが可能です。
状態によっては、注射薬による治療や、より詳しく血糖の動きを把握する検査など、専門的な治療や管理方法が検討される場合もあります。これらを含めて、自分の体の状態に合った治療方針を専門的に相談することができます。
現在の治療を単に変更するのではなく、患者さん一人一人の状態や生活に合った治療方法を、医師と相談しながら見つけていくことが大切です。
さいたま大宮糖尿病相談室
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里村医院(さいたま大宮糖尿病相談室)では、日本糖尿病学会 糖尿病専門医が、一人ひとりの生活習慣や体質に合わせたオーダーメイドの治療を行っています。
予防は治療に勝るという理念のもと、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせ、糖尿病とともに“健やかに生きる”ための診療を提供しています。 糖尿病は静かに進行しますが、早期に治療を始めれば合併症を防ぐことができる病気です。「少し気になるけれど大丈夫だろう」と思わず、気づいたその時点で検査を受けることが大切です。

「健康診断で異常を指摘された」「通院を迷っている」そんな方も、どうぞお気軽にご相談ください。里村医院では、専門医による診察と院内迅速検査により、早期の糖尿病発見と、生活習慣の改善サポートを行っています。スタッフ一同、丁寧な診察を心掛けておりますので、ぜひ当院へご来院ください。
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