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糖尿病治療で使用されるお薬とは

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糖尿病の治療において、薬物療法は食事療法と運動療法で十分な改善が見られない場合に検討されます。具体的には、2〜3ヶ月間、適切な生活習慣改善を行っても目標の血糖値(HbA1c)に達しない場合が開始の目安となります。

糖尿病治療で使用されるお薬とは

現在、日本で使用できる飲み薬は大きく10系統に分類され、インスリンが枯渇しているのか、効きにくいのかという病態や、心臓病・腎臓病などの合併症の有無を総合的に考慮して選択されます。薬の働きは、主に以下の3つに大別されます。

  • インスリンの分泌を促す
  • インスリンの効きを良くする
    (抵抗性の改善)
  • 糖の吸収を遅らせる、
    または尿から出す

薬の選択は、患者さんの体質に合わせたオーダーメイドです。 糖尿病の薬は、どれも同じように血糖値を下げるわけではありません。患者さん一人ひとりの体型や、インスリンの状態によって、最適な薬は全く異なります。

近年では心臓や腎臓を保護する効果がある薬も登場しており、単に血糖値を下げるだけでなく、合併症予防の視点からも薬剤選択が行われます。複数の薬を組み合わせて処方されることも多いため、ご自身が服用している薬がどのような狙いで処方されているのか、以下のリストで確認してみてください。

代表的な薬一覧

糖尿病の飲み薬

糖尿病の治療に使われる飲み薬は、その作用メカニズムによっていくつかの系統に分かれます。ご自身が服用されているお薬がどのような働きをするのか、また注意すべき点は何かを理解しやすいように、代表的な薬の系統ごとに主な作用、メリット、および特に注意すべき点をまとめます。

現在日本で使われているインスリン以外の血糖降下薬は、主に10系統に大別されますが、ここでは経口薬として代表的な8つの系統を紹介致します。

薬の種類(系統名) 代表的な薬(一般名) 特徴 メリット 注意点
SU薬(スルホニル尿素薬) グリメピリド、グリクラジドなど 膵臓に強く働きかけ、インスリン分泌を促す。血糖値が高くなくても作用するため、血糖降下作用が強い。 血糖降下作用が強い。古くから使われており、細小血管症(網膜症、腎症など)の抑制効果が確認されている。 低血糖が起きやすい。特に高齢者や腎機能・肝機能の悪い方はリスクが高い。 食事や運動が不足すると体重が増えやすい。
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド 膵臓に働きかけ、食後のインスリン分泌を速く、短時間で促す。主に食後の高血糖を改善する。 SU薬に比べて低血糖のリスクが低い。食後の血糖値が高い方に特に適している。 必ず食直前に服用する必要がある。
食後に飲むと十分な効果が得られない。
1型糖尿病やインスリン分泌能が著しく低い患者は使用できない。
DPP-4阻害薬 シタグリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチンなど (種類が豊富) 血糖値が高い時にだけ、インスリンの分泌を助けるホルモン(インクレチン)の働きを長持ちさせる。主に食後の高血糖を改善する。 単独では低血糖のリスクが極めて低い。体重が増加しにくい。比較的安全性が高い。服薬遵守率が高い(飲みやすい)。 SU薬やインスリンと併用する場合は、低血糖に注意し、併用薬の減量を検討すべき。まれに急性膵炎や水疱性類天疱瘡(皮膚に水ぶくれ)に注意が必要。一部の薬剤は腎機能に応じた用量調節が必要。
GLP-1受容体作動薬(経口薬) セマグルチド(経口) DPP-4阻害薬と同様にインスリン分泌を助け、グルカゴンを抑える作用に加え、食欲を抑える働きがある。 有意なHbA1c低下効果と体重減少効果がある。心血管イベントの発症を抑制することが報告されている。 主に吐き気(悪心)、便秘、下痢などの消化器症状が出ることがある(少量から徐々に増量が必要)
ビグアナイド薬 メトホルミン 主に肝臓でブドウ糖が作られるのを抑える。また、インスリンの効きを良くする(インスリン抵抗性改善)。 血糖降下作用が強く、単独では低血糖を起こしにくい。体重が増えにくい。肥満患者の大血管症抑制のエビデンスがある。総医療費が最も安い。 まれに重篤な乳酸アシドーシスという副作用が起こる危険がある。eGFRが30未満の重度腎機能障害や脱水状態、高度の心臓・肺機能障害がある場合は使用禁止。胃腸障害が出やすい(少量から開始推奨)。長期使用ビタミンB12不足のリスクがある。
チアゾリジン薬 ピオグリタゾン インスリンの効きを良くする(インスリン抵抗性の改善)。筋肉や脂肪組織でのブドウ糖利用を改善する。 インスリン抵抗性の強い患者に有効。脂質代謝(HDL-C上昇、TG低下)に良い影響がある。 体に水分がたまりやすく、体重増加や浮腫(むくみ)がみられることがある。
心不全やその既往がある方は投与禁忌。特に閉経後の高齢女性は骨折のリスクに注意が必要。
SGLT2阻害薬 ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジンなど 腎臓の尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑え、ブドウ糖を尿として体外に排出する。 血糖改善に加え、体重減少が期待できる。心不全、慢性腎臓病、動脈硬化性心血管疾患などに対する臓器保護効果が大規模試験で示されている。 尿に糖が出ることで、性器感染症や尿路感染症の頻度が増加する。脱水や急性腎障害のリスクがあるため注意が必要。まれにケトアシドーシス(高度な高血糖を伴わない場合もある)が起きる可能性がある。
α-グルコシダーゼ阻害薬 アカルボース、ボグリボース、ミグリトール 腸で糖質の分解を遅らせ、ブドウ糖の吸収をゆっくりにする。主に食後の高血糖を抑える。 食後の血糖値上昇を改善する。単独では低血糖を起こさない。糖尿病予備群の2型糖尿病発症抑制効果も認められている(ボグリボース)。 腹部膨満感やおなら(放屁)、下痢などの胃腸障害がしばしば見られる。低血糖が起きた場合、必ずブドウ糖で対処が必要。毎食直前の服用が必要。

糖尿病治療で使用されるお薬

飲み薬(経口薬)の主なタイプ

飲み薬には多くの種類がありますが、それぞれの作用メカニズムを理解することが治療の第一歩です。

インスリン分泌促進薬

すい臓に働きかけ、インスリンを出させる薬です。血糖値が高い時だけ働くスマートな薬と、強制的にインスリンを出させる強力な薬があります。

薬の種類(系統名) 特徴とメリット 注意点
DPP-4阻害薬 血糖値が高い時だけインスリン分泌を促すため、単独では低血糖のリスクが極めて低いのが特徴です。 安全性が高いですが、他の強力な薬と併用する際は低血糖に注意が必要です。
GLP-1受容体作動薬(経口) インスリン分泌促進に加え、食欲を抑える作用があり、体重減少効果が期待できます。飲み薬としてはリベルサス(セマグルチド)があります。 吐き気や便秘などの消化器症状が出ることがあります。
SU薬(スルホニル尿素薬) すい臓を直接刺激してインスリンを出させるため、血糖を下げる力が非常に強い薬です。 血糖値に関係なく作用するため、低血糖を起こしやすく、体重が増えやすい傾向があります。
速効型インスリン分泌促進薬 SU薬と似ていますが、効き目が早く切れるのも早いため、主に食後の高血糖をピンポイントで改善します。 食事の直前に飲む必要があります。

インスリン抵抗性改善薬

インスリンは出ているのに、太りすぎなどで効きが悪くなっている(インスリン抵抗性)状態を改善する薬です。

薬の種類(系統名) 特徴とメリット 注意点
ビグアナイド薬(メトホルミン) 肝臓からの糖の放出を抑えます。体重が増えにくく、薬の価格が安いため経済的です。心血管疾患の予防効果も報告されています。 単剤では低血糖を起こしにくく、体重が増えにくいです。肥満2型糖尿病患者に対する大血管症抑制のエビデンスがあり、他の血糖降下薬と比較して経済性が最も優れています。非肥満例でも効果を示します。
チアゾリジン薬(ピオグリタゾン) 筋肉や脂肪でのインスリンの効きを強力に改善します。 むくみが出やすく、心不全の方は使用できません。体重が増加しやすい傾向があります

糖吸収抑制薬/SGLT2阻害薬など

インスリンとは全く別のルートで血糖値をコントロールする薬です。

薬の種類(系統名) 特徴とメリット 注意点
SGLT2阻害薬 血液中の過剰な糖を尿と一緒に体外へ排出します。血糖改善だけでなく、体重減少効果、心不全や腎臓病の進行を抑える効果が認められています。 尿路感染症や性器感染症、脱水に注意が必要です。
α-グルコシダーゼ阻害薬 腸での糖の分解を邪魔して吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑えます。 お腹が張ったり、ガスが増えたりすることがあります。

糖尿病治療で使用されるお薬

注射薬の主なタイプ

注射薬=インスリン(最終手段)というイメージがあるかもしれませんが、現在はGLP-1受容体作動薬という、インスリンとは異なる注射薬が広く使われています。

薬の種類(系統名) 特徴とメリット 注意点
GLP-1受容体作動薬 血糖値が高い時だけインスリン分泌を促し、脳に働いて食欲を抑制します。体重減少効果が高く、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病の進行を抑える効果が証明されています。 使い始めに吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状が出やすいですが、継続すると軽減することが多いです。注射薬(週1回または毎日)が主流ですが、飲み薬もあります。
GIP/GLP-1受容体作動薬
(チルゼパチド)
GLP-1に加えてGIPというホルモンの作用も併せ持ちます。従来の薬と比較して、さらに強力な血糖降下作用と大幅な体重減少効果が報告されています。 GLP-1受容体作動薬と同様に、初期に吐き気などの胃腸症状が出ることがあります。現在は週1回の注射製剤のみが使用可能です。

糖尿病治療で使用されるお薬

効果と副作用のバランスを知る

薬を選ぶ際は、血糖値を下げる強さだけでなく、低血糖のリスクや体重への影響を考慮する必要があります。

低血糖のリスク

  • 高い

    SU薬や速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

  • 低い

    DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、ビグアナイド薬、GLP-1受容体作動薬

リスクの低い薬でも、SU薬と併用する場合は注意が必要です。

体重への影響

  • 痩せやすい

    SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬

    【SGLT2阻害薬の副作用】

    急性腎障害、体液量減少関連イベント、および
    ケトアシドーシス(特に正常血糖ケトアシドーシス)の発症に注意が必要です。

  • 太りやすい

    SU薬、チアゾリジン薬

    【チアゾリジン薬の副作用】

    体液貯留作用があるため、心不全やその既往がある場合は禁忌です。

  • 太りにくい

    ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬

    【ビグアナイド薬の副作用】

    まれに重篤な乳酸アシドーシスのリスクがあります。
    eGFRが30未満の患者や、高度の心血管・肺機能障害などがある患者には禁忌です。

糖尿病治療で使用されるお薬

自分に合った薬を選ぶために

糖尿病の薬は、膵臓の機能、肥満の有無、心臓や腎臓の合併症の有無など、個々の患者さんの病態に合わせて選択されます。

  • POINT1

    病態(肥満かどうか)

    肥満がある方には、体重を減らす効果のあるSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬、あるいは体重を増やさないビグアナイド薬が適しています。痩せ型の方には、インスリン分泌を助けるDPP-4阻害薬などが中心となります。
  • POINT2

    合併症があるか

    心不全や慢性腎臓病、心血管疾患のリスクがある場合、血糖を下げる以外の心臓や腎臓を保護する効果が報告されているため、優先的に検討されることがあります。
  • POINT3

    費用の負担が気になる方

    ビグアナイド薬(メトホルミン)は他の多くの薬剤と比較して、経済的負担が最も低いことが報告されています。
  • POINT4

    続けやすさと経済性

    飲み忘れが多い場合は1日1回の薬や配合薬を、費用の負担を抑えたい場合は安価なビグアナイド薬を検討します。

checkpoint

治療は、目標に達しない場合、漫然と同じ薬を続けずに3ヶ月ごとに見直しを行います。治療薬を選択・変更する際は、医師がこれらの薬の特性、安全性、そして飲みやすさや費用などを総合的に判断しています。疑問や気になる副作用がある場合は、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。

さいたま大宮糖尿病相談室

里村医院の糖尿病診療体制

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里村医院(さいたま大宮糖尿病相談室)では、日本糖尿病学会 糖尿病専門医が、一人ひとりの生活習慣や体質に合わせたオーダーメイドの治療を行っています。

予防は治療に勝るという理念のもと、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせ、糖尿病とともに“健やかに生きる”ための診療を提供しています。 糖尿病は静かに進行しますが、早期に治療を始めれば合併症を防ぐことができる病気です。「少し気になるけれど大丈夫だろう」と思わず、気づいたその時点で検査を受けることが大切です。

里村医院の糖尿病診療体制

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